「雫?降りないの?」
車に乗り込んで早2時間。
最初の休憩をとるのはいいんだけど…
「うん、やめとく。
こんな人の中にいたら死んじゃいそうだから」
パーキングエリアには大量の人。
どうせトイレに行ったら長蛇の列で入るのに20分くらいかかるんだろうし、
自販機も人が並んでるし。
降りる気なくすよ。
「そう言わずにさ、降りようよ。
空気がおいしいよ」
そりゃあね、廉。
うちよりも自然がいっぱいあるけども。
だけどこんな車がいたら
排気ガスで空気はおいしくないと思うよ?
「行こうよ、雫」
あまりにも廉が言うから仕方なく、車を降りた。
「雫は高山、行ったことある?」
その廉の質問に首を横に振る。
ちなみに旅行の行き先は飛騨高山。
なぜ高山を選んだのかは…謎。


