結局、廉と話すことなく授業後。
いつものようにジャージに着替えてグラウンドに出た。
あたしが所属してるのは野球部。
そこでマネージャーをやっている。
中学生になったら絶対野球部に入ろうって決めてた。
選手にはなれなくてもせめてマネージャーで、って。
きっとお父さんのせい。
お父さんは昔野球をやっていてよくテレビで野球中継を見たりして。
それで野球のルールをテレビ見ながら教えてもらった。
小さい頃はお父さんと廉と3人でキャッチボールした記憶もある。
本音を言えばプレイしたいけど
マネージャーで我慢。
「雫、廉くんと仲直りするチャンスだよ」
たまたま通りかかった梢が囁く。
やめてよ、梢。
ただでさえ鬱なんだよ、今。
廉とまた顔を合わせなくちゃならないんだから。
なぜか、って?
そんなの簡単な話。
廉の所属してる部活が野球部だから。


