それからしばらくして全ての準備が終わる。
「あぁ…眠い」
寝起きの廉は少し、機嫌が悪い。
これ、小さい頃からずっとそう。
「よし、じゃあみんなグラス持って!」
お父さんがそう言うと大人はビール、子どもは炭酸の入ったグラスを持つ。
「聖なる夜に…乾杯!」
「かんぱーい」
グラスのぶつかる音がする。
にしてもお父さん、聖なる夜に…とか言っちゃってさ。
案外、ロマンチストだったりして。
「雫、これ、食べなよ」
廉はあたしにおかずがたくさん乗ったお皿を渡す。
「え…こんなに食べれないよ」
「じゃあ俺が一緒に食べてあげる」
そんなあたしたちを見て大人たちはクスッと笑う。
「まったく…2人は相変わらず仲良しだな」
浩兄のその言葉で笑う大人たち。
何が笑えるか全然分かんない。
それにからかうのはやめてほしい。
散々、学校でからかわれてるんだから。


