「でな?それで、浩介が…」
「え?ホントに?
もうヤだー…お兄ちゃんってばー」
あたしは聞いていないフリをしながら
キッチンで両親の楽しそうな会話を盗み聞き。
あ、ちなみに浩介って言うのはお母さんのお兄ちゃんね。
だから本当はお父さんの義理の兄になるんだけど、
お父さんのほうが浩兄より年上だし、
高校時代は先輩後輩だった、ってことで
お父さんは浩兄を『浩介』って呼んでるんだ。
あ、それと浩兄はお父さんと同じ学校で先生してる。
「あ、そうだ、雫」
「ん?何?」
「明日、浩介たちも来ることになったんだ」
思わず溜め息。
またうるさくなる。
「なんだ?嬉しくないのか?」
「え…いや、そういうワケじゃないけど」
でも、憂鬱だよ、あたし。
浩兄は優しいから大好きだし、
浩兄の奥さんの香奈さんも明るくていい人だよ?
けど。
だけど、大人が増えるってことはさ、
お父さんたちのほろ酔いでの盛り上がり度は増すワケでしょ?
そんなの…無理。
あたし、耐えられません!


