「なんで?なんで廉がここにいるの?」
「雫と同じ。
体調不良」
「ウソつき」
「あれ?バレた?」
廉はそう言って笑っている。
「本当はさ、音無が教室に戻ってきて雫に告ったって聞いたから」
あたしはあえて廉に背を向けていた。
だって廉がこっちを向いているのが分かったから。
「別に…廉に関係ないじゃん」
「確かにな。
でも、雫…帰って来なかったから。
どっかで泣いてたらどうしよう、って思ったらいてもたってもいられなくなった」
「なんで泣く必要があるのよ」
「だって雫、昔っから泣き虫だったから」
「それ、答えになってないよ」
そうだな、そう言って廉はまた笑った。
笑い事じゃないよ、全然。
笑えない、ってホントに。
告白されて泣く必要はどこにもないのに。
だけど、今…あたし、なぜかすごく泣きそうなんだ。


