「ちょっと…時間…ください」
あたしはそう言って竜馬くんの返事を聞く前に音楽室を飛び出した。
そして向かった先は保健室。
「失礼しまーす」
入ると保健の先生がいて。
「あら、雫ちゃん。
どうしたの?」
「ちょっと…気分が悪くて」
ウソをついた。
でも教室になんて行けないよ。
だって…廉がいるから。
きっと廉ならあたしの変化に気づくから。
そしたら竜馬くんに告白されたこと、言わなきゃいけなくなるから。
だから教室には行けない。
「そう。
ベット空いてるから寝てていいわよ」
保健の先生はふわっと笑う。
「…ありがとうございます」
きっと、気づいてる。
あたしがウソをついてること。
でも先生は優しいんだ。
だから騙されたフリをしてくれる。
こんな先生、なかなかいないよね。


