「あ、そ。
どうせ、雫はお前のことなんていい人、くらいしか思ってないと思うけど。」
「そういうなら雫ちゃんは廉のこと、幼なじみにしか思ってないんじゃない?」
言うな、コイツ。
それを言われたら俺が何も言い返せないこと分かってる。
「まあでも相手に不足はないから俺にとってはありがたいけど。」
「あ?どういう意味だよ?」
音無に掴みかかってやろうと思ったが我慢しておいた。
「廉も雫ちゃんが好きなんだろ?
だったら俺と廉はライバル、ってことになる。
チンケな変なヤツが相手ならやる気失せるけど、
廉ならやりがいがある。」
ニヤッと笑う音無。
何考えてんだ…コイツ。
「お前、バカ?
俺に勝てると思ってんの?」
「うーん…難しいとは思ってる。
けど俺、負ける気はないから。
廉に負けるなんて絶対ヤだし、
何より雫ちゃんを誰にも渡したくないんだ」
よくもこんな恥ずかしいことをサラッとトイレで言えるな、コイツ。
敵ながらあっぱれ、だよ。
「ま、そんなの俺も同じに決まってんだろ。
俺は雫と生まれてからずっと一緒だったんだ。
突然ひょっこり現れたお前になんて
絶対雫は渡さないから」
俺がそう言い切ったところでチャイムが鳴った。
コイツにだけは…
音無にだけは絶対負けねぇ
俺のプライドを賭けて、
雫を必ず、振り向かせてみせる。
悪いな、音無。
相手がお前なら俺はもう、容赦しない。
本気でやってやるから。
楽しみに待っとけよ。
●SIDE REN●


