「しずくー!入るぞー!」
部屋にこもって3時間。
この声はお父さんだ。
そう分かっていたけどあえて無視。
「おーい、雫?
生きてるのかー?」
死んでるワケないでしょ!
と、叫びたかったが我慢。
いっそのこといびきでもかこうか。
そうすればお父さんだって諦めてくれるでしょ?
そう思っていびきをかこうとした途端、
「なぁ、雫」
お父さんが話を始めた。
「無視するのは勝手だけど、ちょっと話聞いてくれよ。
廉くんと雫の間に何があったか知らないけど、
そのイライラを零にぶつけちゃダメだろう。
零は母親として元気のない雫のこと、心配してるんだぞ?
それなのにご飯も食べず部屋にひきこもっていいのか?
そりゃあ廉くんとケンカしてるんだし、イラつく気持ちも分かる。
けどな、零に…お母さんに心配かけさせちゃダメだぞ。
零、ずっと座って雫がご飯食べに来るの待ってるから。
雫と一緒に食べる、って言って聞かないんだ。
だからさ、雫。
お母さんの相手、してやってくれよ。
零、昔っから頑固だから。
このままじゃ、朝までずっとあの状態だぞ。
じゃあお父さん、お風呂行ってくるな。
あ、優はとっくに寝たから。」
それからすぐに階段を下っていく音が聞こえて。
お母さん…ずっとあたしのこと、待ってるの?
ムクッと起き上がって、ドアの前に立つ。
するとぐぅーと、お腹が鳴って。
お父さん、ナイスなタイミングだね。
ちょうど、お腹も限界みたいだよ。


