「手離せよ」 俊哉!? とても低く響いたその声は、誰の声かわからないほど怒りに満ちていた。 俊哉であってほしい そう願いながら見上げれば、そこにいたのは俊哉ではなくあのお客さんだった…―――― 男が割り込んできたことで諦めたのか、先ほどの男たちは気付けばいなくなっていた。 「大丈夫?」 力が抜けて座り込んでしまった私に、彼は優しく手を差しのべる。 やっとの思いで掴んだその手は、俊哉とは違うごつごつとした男の手で、私はこんな状況にも関わらず赤くなってしまったのを覚えている。