だけど。
私たちの気持ちは先生たちには伝わらなかった。

教頭先生は怒り、
「イジメはなかった」
と叫んだ。


「本当にイジメはなかったって言えますか?」
負けじと叫び返したのは瑠美ちゃんだった。

「イジメられた子達がイジメられたと言っているんです…それが何よりのイジメがあったという証拠なのではないですか?」

イジメ…
それは、誰が決めるものではない。

1対1で言い合いしたり、叩き合ったりするのはケンカ。

だけど。
1対大勢になるとそれはイジメ。

直接的に手を出されなくても。
無視されたことで、相手が傷ついているのなら、それは立派なイジメだ。

そのイジメを決めるのは学校の先生ではない。
イジメられた人が決める。

「じゃあ、イジメがあったなら、どうして先生たちに話してくれなかったのだ?先生に話せないようなイジメならたいしたことはない。」

冷たく中山先生が言った。