小さな会議室での記者会見。
3回目の記者会見。

私たちはそれを教室のテレビで見ていた。


「えっー昨日から今日まで教師たちが生徒の家庭を訪問して…1人、1人、事情をききましたところ、2年生の女子生徒に対しても坂本先生に対してもイジメはなかったそうです…」

マイクの前に立った校長が言う。
昨日の問題発言がある教頭は黙っている。

「じゃあ、あの遺書はウソだと…?」

「はい…」

「でも…昨日、教頭先生はイジメられて自殺するような奴は心が弱いとおっしゃっていましたよね?それは…イジメがあったということではないでしょうか?」

マスコミが聞く。
カメラのフラッシュは教頭先生を写している。

もう。
マスコミも騙されないと思っているみたいだ。


「それは…私は本校にはイジメをするような生徒達を信じていました。イジメは人を傷つけます。そんな卑劣なことをする生徒がうちの学校にいると言われ…動揺しました。本当に昨日の発言は申し訳なかったと思います。すみませんでした…」
教頭先生が頭を下げる。
頭を下げれば…昨日のことが帳消しになると思っているのだろうか?

そんなことにはならないのに。