「教頭先生。生徒さんが話しているんです。静かに聞いて下さい」
保護者が言った。

「みんなも見ていたよね?宏美がイジメられていたこと。バケツの水をかけられたこと…」

だけど…2年生は誰も頷かない。
知らないふりをしている。

「すみません。この子は今…少し動揺していて。宏美が水をかけられたのを見たのは…プールの時なんじゃない?ボールも体育の時に誤ってぶつけたりしたけど…私たち美晴さんのことイジメてなんかいません!!」
みゆきが言った。

みゆきは何も感じないのか?
あんなに美晴の父親が泣いて訴えているのに。
何も思わないのか?

中山先生も。
「みゆきさんの言うとおり、イジメはありませんでした」
言った。

中山先生だって美晴をイジメていた。
それがバレたら…自分のクビがとぶ。
だから…必死に隠そうとしている。


宏美は…下を向いて座った。
明日からは…宏美が2年生のターゲットになると誰もが予想した。


保護者は先生達に
「もう一度、きちんと調べて下さい。生徒さんがイジメがあっていると言った以上、みんなが納得できる説明をお願いします」
とお願いして。
説明会は終わった…