人込みに紛れ流されるように歩き、その流れはスクランブル交差点の前で止まった。 安堵の息をひとつ吐き、意味もなく胸を張ってみた。 『この男の人、面白い』 四万十川の美しい流れを頬に持つ純粋な少女の言葉が、オレに勇気をくれた。 少し気持ちが大きくなったオレは、 『よし、世間を斜に構えて曇った目で見てやろう!』 そう決意したと同時に、少し首を斜めに傾けつつ目を薄く開けた。 ・