「あ……ありがとう、四万十川!」


オレは少女の名前を知らない。


だから、少女の頬のラインによく似た川の名前を勝手に少女に付けて呼んだ。


キョトンとする少女の頬の川の流れがなんともはかなげで、オレは少女の頬にそっと手を伸ばす。



「きゃあぁぁぁ!ウチの子に何するの〜!?」


その時、その少女の母親らしき悲鳴が聞こえた。


「違っ!!」


オレは短くひっそりとツッコミ、そのオープンカフェの席を立ちそそくさと人込みに紛れ込んだ。