オレは今、人々が集う賑やかな街にいる。


お洒落な喫茶店のオープンカフェ。


せわしなく足早に、それでもどこか楽しそうに行き交う人々の流れを凝視していた時、ウェイトレスがコーヒーを運んで来た。


コーヒーがオレの目の前に置かれる。


「オレなんかのために、コーヒーを運んでいただき……ありがとうございます」


オレは椅子の上、正座を崩さず深々とウェイトレスにお辞儀をした。


お辞儀は45度。


3秒経って頭を上げた時、もうそこにウェイトレスはいなかった。