お家に帰ろう。

「そんな時、弥生が言ったんだ。赤ちゃん、産んでも良いでしょ?って。…俺は反対した!そして
“こんな俺が二人の子供の父親だなんて…何やってんだ俺は!”と
、また落ち込んだ。
そしたら弥生は“1人で育てる”と言い出した。…そんなの無理に決まってる。するとこうだ。
“今の貴方には無理だけど私には無理じゃない!私のこと考えてくれる時間があるなら、自分のことを考えなさい!反省するなら、何とかするように努力したらどうなの?貴方が育てなくても、貴方には二人の子供が居ることは確かなんだから!”ってさ。」

「…つえ〜。」

「だろ?目が覚めたよ!病院に戻って、一からやり直しだ。遥のおかげと言っても、過言ではないな。」

「…外科医は?」

「…後悔にかられて意地になりがちな俺は、内科医の方が向いてると思ってなぁ。」

「ふーん。」


すると突然、
父親が、2、3歩後ろに下がったと思ったら………


「本当にすまなかった!」

将人に向かって、頭を下げるではないか!


「やめろよ!!」


そんな父親に近寄り、上体を持ち上げようとする将人は、
もう、すでに父親の身長を越えていた。


父親のことを分かっていなかったのは自分だった。


産みの親が死ななければならなかった理由を、
いつ、どんな状況で伝えるべきか、
一番悩んでいたのは父だったのだとわかった。


そんなこととも知らず、今まで反抗してきたのだ。


それからの将人は、
一般的な、思春期を迎える男子の態度をとるものの、
親に対して反発することはなかった。