お家に帰ろう。

「家まで送って行ったにしても…遅いよね〜。何してんだろ?」

「もう帰ってくるわよ。」

「テツから聞いたんだけど、男は女を守るもんなんだって、まーくんに言われたんだってよ。」

「…なにを言ってんだアイツは!!」


遥から聞く、将人の数々の広言には、さすがの父親もご立腹とみえ、
そのまま立ち上がり、何も言わずに家を出ていった。


怒りを静めるためか、
将人を探しに出たのか
自分でもよく分からぬまま、
しばらく付近を歩いて行くと、
母親が言う通り、
家へと向かう将人が目に飛び込んできた。


「おい!」

「あ。」

「ちょっと来い!」


そこから近くにある、小さな公園へと将人を誘う父親。

将人は黙って付いて行く。

広場の中程まで辿り着いた時、

「最近のおまえは何なんだ?!」

父親は振り返ったと同時に怒鳴りつけた。


「純粋な小学生に、無責任な話を吹き込んで!」

「は?」


将人が首を傾げるのも当前だ。

遥から、掻い摘んだトコロしか聞いてない父の話は、
そこに至まで、きちんとした辻褄があって口にしている将人にとって、
何のことか分かるはずが無かった。


「何が気に食わないんだ!言いたいことがあるなら、直接、父さんに言ったらどーなんだ!」