お家に帰ろう。

それからしばらくの間、
哲司の方から、何の音沙汰もないまま数日が過ぎていた。


「…こーやって友達をなくしていくんだなぁ〜。」


明は、そんなことがあった翌日から、
すでに幾度か、将人のマンションを訪れている。


「自分からテツに電話してみりゃーいーじゃん。」

「どうせデンワ。」

「…それほど深刻にも思ってないだろ?」

「コレばっかりはしょうがないと思ってるから!」

「惜しい人材を無くしたなぁ。市川くんだって“友達で”って言うならソレでも良かったんじゃねーの?」

「ソレはナイでしょぉ!」

「好きになっちゃいそーだから?」

「お。弱気な発言?」

「…もし、おまえが誰かを好きになったんなら、その時は…そーしろよ。」


「…この男のために出逢いをムダにしたかなぁ?」

「もちろん!無理に誰かとつきあうことは無いんだからな!」


わざとそんなことを言わせては、

「は〜い!ダーリン♪」

将人に抱きついてみたりする。


そんな末っ子で甘え上手な明を、
将人は幼い頃からずっと見てきたのだ。


無邪気な明に、恋心を抱くようになったのは、いつだったろうか?



あれは…

そう、母・弥生の妹の三回忌の夜のことだった………