バタンっ!


玄関のドアが閉まる音がして、
そのまま階段を上り、部屋へと向かう明のことを、気になって仕方がない様子の遥。


“また仲間外れにされた!”とか言うよりも、
気になるのは、明と哲司の関係についてで…

母親も将人も、そんな遥を見て見ぬフリをしていた。


将人にしても、さっきの二人の事は気になるところではあるが、
まあ、あとでも聞くことはできるので、あえて今は話題にはしないでおいた。



そして明は、途端に携帯電話を広げ、テツへのメールを打ちはじめる。


『どこまで聞いてきた?』

『写真がどーのこーの。俺をアキラってヤツだと勘違いしてたとか?』

『あたしと居るところを見つけて、後をつけたら、テツが違う家に帰っていくのを見て勘違いに気が付いたって言ってた。慌ててちゃんと調べたら、あたしが明だと判明したらしい。』

『調べとけよなぁ。いい大人なんだから。』

『同窓会で、葉月叔母さんが結婚したことと、死んだことを聞いて、あの人、叔父さんを尋ねたんだって。そこで思い出話に花が咲いて、子供が居ることを聞いたって言うんだけど、ってことは、叔父さんは、あたしのことを知ってて知らないフリしてくれていたんだってことだよね?遺品から赤ちゃんの写真が出てきて知ったらしいの。』

『その写真に名前が書いてあったって訳か。』

『そのことについての説明が無かったから、アキラだとばかり思ってたって。』

『で、どうしたいんだって?』

『あたしが幸せならそれで良いってさ。』