お家に帰ろう。

哲司が上條家を出ると、
あとから将人が追いかけてきた。


「今日はありがとな。遥も喜んだぞ、きっと。」

「やめてよ。そーゆーことなら行かないよ、これから。」

「ごめんごめん。」

「ったく。」

「そんな怒んなよ。迷惑か?」

「迷惑じゃなくて、気まずいよ。意識しちゃうだろ。」

「あ、そーだな。彼女と別れて、傷心な時だもんな。」

「俺、そんな弱い男じゃないけど。」

「そ?明とも交流再開したから、てっきり淋しいのかと思ったよ。」

「これでも気を使ってんの!彼女とか、親友とか…色々!(明との仲に気づいたら、マサくんの心が読めるようになったなぁ。こうやって、俺の気持ちを探ってたんだな、今まで。)」

「女ってのは、ワケ分かんねーからなぁ!」

「ん?」

「ま、元気出して!」

「元気だよ。今も楽しいし。」

別れたとはいえ、つきあっていた間、決して悪いことばかりではなかった彼女の名誉のため、原因について、将人に話すのはやめておいた。

「そっか。」

「ま、色々あったけど。…マサくんも色々あるみたいだね!明に言われてたじゃん!」

「あー、まあな。この年になるとそれなりに。」

「お、認めてる。」

「でもさ、おまえをかばうために俺の話を持ち出すことないと思わね?」

「あれって、そーゆーことだったの?」

「だろ。」

「そーなんだ。(明の、嫉妬からくる公開イヤミかと思った。)