お家に帰ろう。

その時、

「でもさ、ある程度アルコールにも慣れておかないと、突然飲み会に参加して、朝、隣に女の子が寝てたりしても大変だけどねー、まーくん。」

「ゲホッ。」


突然の明の話に、喉をつまらせる将人。


「何それー?」

遥が冷やかすと、

「本当なの将人?」

母が、珍しく真剣な表情で聞く。


「何やってんだまったく、情けない。」

そんな父のぼやきに、

「冗談だって!例えばの話だろ?」

と、必死な将人を見た時、

(まさくんって、嘘がつけない人だもんなぁ。)


心配にすらなってくる。


その後も、シラーッとした顔してケーキを頬張る明を、将人が時折睨みつける様子を見ては、吹き出しそうになるのを誤魔化すように、

「あ、明。新しいメルアド教えて。」

と、携帯電話を取り出した。


「さっきもさぁ、メール返ってきちゃってさぁ、」

「教えてなかったっけ?」

「あのまんま。」


携帯電話を手に、ボソボソと話している明と哲司。


「そっか、あれ以来メールしてなかったんだぁ。」

「な。」


そんな二人を、遥が、じっと見つめていることなど気づきもしなかった。