お家に帰ろう。

そこへ、

「そうだ。テツ、りんごアレルギーだもんね。」

「そーなんすよ。」

またも遥のテツ情報に、

「…へー、知らなかったなぁ。」

明は目を泳がせていた。


「はーちゃんよく覚えてるね。」

「前にそんな話、したような…」

「おまえが覚えてないんだろ。」

「うん。興味ないからね。」

「お馬鹿だからだろ?」

「どーでもいーことだから!」

「おまえな〜」

「あははは、てっちゃんが来ると、やっぱり楽しいわね。最近来ないから、喧嘩でもしたのかと思ってたわよ。」

「喧嘩したのは彼女とだって!…別れちゃったらしいよ。ね!」

「ばっ!」

「あらら、それはそれは。」

「この女〜。マサくんからも何か言ってやってよ、このお喋り女!」

「まあまあ、甘いモン食って、落ち着けや。」

「あ。俺、どちらかと言うとこっちがいーなー。」

と、少し調子に乗って、将人の前にある、飲み残しのビールグラスを冗談で手にした時、

「ダメだぞ。未成年の酒、煙草は絶対ダメだからな。」


機嫌は良いのだか、曲がったことには厳しい父の一面を見て、また緊張が戻ってきてしまった哲司は、

「やーねーお父さん。冗談に決まってるでしょ。ねー、てっちゃん。」

「あはは…(この厳格な父親が、この二人を認める日は来るのか?)」

そんなことを考えながら、明と将人の顔を直視できずにいた。