お家に帰ろう。

こうして、上手く唆され、
遥の誕生日、
上條家の家族団欒に加わわることとなった哲司は、

ピンポーン………

「はい?」

「あ、哲司っす。」

「あら、てっちゃん!」


8時頃に姿をあらわした。


「あ、あたしが呼んだの。ケーキ食べに来ればって。」

そう言いながら遥の方をチラッと見ると、

「あはは、ケーキ大好きだもんねー。」

「え…そーだっけ?」

そこに、何かを思い出すように、微笑む顔があった。



「はい、どーぞ。」


哲司の座った場所は、明と将人が向かい合って座るテーブルの角。


そこしか空いてないし、
今までもそうだったのだから仕方がないが、
今の哲司にとって、一番気まずい席であっただろう。


正面に座る父親に気遣いながら、すぐ隣の明と将人の様子も気になるに違いない。


「てっちゃんコーヒー紅茶どっち飲む?」

テーブルを片付けながら母が聞いた。

「あー紅茶で。」

「アップルティーで良い?」

「あ、普通のがイーかな」

「あら、じゃあ、レモンでも入れる?」

「うん。あと砂糖たっぷりめで。」

そんな哲司に明は一言

「ガキ。」