お家に帰ろう。

「何だったの?俺には聞く権利があると思うんだけど。」

次の日、久しぶりに明の部屋をたずねていた哲司。


「ホント助かりました。この借りはいつか何かでお返しします!」

「答えになってない!…男と…一緒だったとか?9時過ぎてたもんなぁ!そりゃ弥生さん、心配するだろう…どこで何やってん…のかなぁ…」


言葉を濁しながら、気付いて無いフリをするのも大変だ。

そのうち、どちらかが話してくれることを信じながら、
時折、何気なく答えを催促してみたりもしたが、

「ヤラシイ目!そんなんじゃありません。」

そんな気配もなさそうで、

(やっぱ違うのかなぁ?…なんだかんだ言っても“兄妹”なのか?)

と、考えるようになっていた哲司は、

(だよなぁ…今まで、ねーちゃん的存在だった遥を、違う視点で見ろって言われても、簡単には切り替えれねーもんなぁ。)

自分に置き換えて考えてみると、納得ができた。


それは、つい最近の出来事だ。


以来、また少しずつ、明との交流が始まった哲司は、遥の誕生日に、盛り上げ役として招待されていた。

が、なんとなく気が乗らず、

「この年で家族で誕生パーティって…逆にイタくね?」

「そりゃあ友達とも何かしらあるかもしんないけど…今、彼氏はいないワケだし…一緒にケーキ食べるくらいイーじゃん!ちょうど6等分にカットできるし」

「主役が多目に食えばいーじゃん?」

「太っちゃうでしょ!お年頃なんだからね!」

「…なんなの?」