お家に帰ろう。

哲司は、市川の言ってることが、いまいち分かっていなかった。


「おまえと付き合っていながら、明ちゃんの存在が邪魔だったんだろ。…俺、その気持ち…分かるよ。」

「…んだよそれ〜!!」

「考えてみればさ、アレがあったから、お姉さんと彼氏の件も、あのくらいでおさまった訳だし…今、円満なんだろ?」

「そーゆーことじゃねーじゃん!」

「確かにな!だから俺は、明ちゃんに会わす顔がない!」

「そーじゃなくてさぁ!」

「これで、きっぱりと諦められる!」

「…」

「でも俺とおまえは状況が違うから!明ちゃんに伝えるのは、どーかと思ったけど、やっぱ、おまえには言っといた方が良いと思ってさ。…彼女も覚悟できてんじゃねーかな?」


哲司は自分の頭を、両手で掻きながら抱え込んだ。


そんな様子を見て、

「いつか、明ちゃんと思い出話する時にでも使ってくれ。」


哲司に1人で考える時間を与え、屋上から立ち去る市川だった。