お家に帰ろう。

別に、今までの思い出を全て無かったことにすることもないだろうし、

(だいたい、これで終わりって…なんだよそれ。)


ここ最近、上條家と関わらないようにしていたのは自分だが、
嫌気が差したのではなく、
教えたくないコトを無理に聞き出すつもりも毛頭なく…

どうするべきかが分からなかったのだから仕方がない。


何も知らずに過ごしていた、
一ヶ月程前のことが、
やけに懐かしく思えてくる。

そんな休み時間、
その頃に戻ったつもりで、

『言い逃げすんな。柄じゃねーぞ。』

明の携帯電話にメールを送るも、
そのアドレスには、すでに送信できなくなっていた。


「マジめんどくせ〜!!」


とっさに叫んでいた哲司は、
クラス中の生徒から視線を浴びていることにすら気付いていない。


そして、ぬくっと立ち上がると、トイレへと向い、
こっそり電話をかけてみることに…

留守番電話に、一言怒鳴りつけてやるつもりだった。


「あ、俺。朝のアレは何だ?どーゆーつもりか知んねーけど、俺、これからもガンガン関わってくつもりだから!覚悟しとけ!…あ、でも、邪魔するつもりは無いから…さ。なんかあった時は、いつでも言ってくれ。うん。影ながら…応援してる。…そんな感じかな。おし、じゃあ。」


結局、エールをおくる哲司だった。