お家に帰ろう。

「おはよ。」

「んあ、はよ。」


久しぶりに交わす明と哲司の会話は、朝、駅に向かう道での挨拶から始まった。


「最近どうよ?」

「ん。平和。」

「それは良かった。」

「そっちは?」

「まーくんの怪我も完治。よって、また、夕食時になると帰ってくるようになりました。」

「ふふっ。」

「ありがとう。」

「んあ?」

「これだけは伝えなきゃと思って…いつもより早いの、今日。」

「え?」

「めんどくさいでしょ?うち!」

「!」

「だから…全部忘れて!そして、もう、関わらなければ思い出すこともないでしょ?」

「そんなこと」

「ホントいつもありがとう!それから!…色々とごめんね!うん。じゃね!」

「はあ?」


言うだけ言った明は、その場から逃げるようにして去って行った。


その後ろ姿を見ながら、

(…いつもより早いんじゃねーのかよ…)

あとを追えなかった哲司が、そこに居た。


「めんどくせ…マジで」


確かに、それが一番良い方法だと思えてきたのだが…


(で、どこから無かったことにすれば良いんだ?)


学校でも、一人で考えてしまう哲司だった。