お家に帰ろう。

「!何を」

「マサくんだって!結局、明とは兄妹じゃないワケだし、従妹なら恋愛はできるんだから」

「テツっ!!」

「!」

「…あははは。そんなこと、あるわけねーじゃん。何言ってんだよ、おまえ」

「…ほらね。(電話で良かったぁ)勝手に決め付けられるとムカツクだろ?」

「ったく。…これからは、俺も気を付けるよ。」

「うん。そーしてくれるとありがたい。俺には彼女も…友達もいるし。」

「そーだよな。大事だよな。」



哲司は気が付いてしまった。

そして将人の反応で、
その推測は、あながち間違ってないと判断をした。


家族思いの将人が明を思う気持ち
そして、
その明が思いを寄せる相手が……

考えてみれば、全てのつじつまが合う。


(言ってくれれば良いのに……)


ここまで上條家の内情を知っておきながら、何の口出しも出来ない自分の立場に、居た堪れない哲司だったが、

『従妹なら恋愛はできる』と、

安易に口にしたものの、
決して簡単なコトではないと、
後になって段々と知得してきて、

今までのようには、二人と関わることに気が引けてきてしまうのだった。


こうして、しばらく上條家に顔を出さずいた哲司は、穏やかな日々を過ごしていた。

それまでの数日間が、あまりにも非日常的だった為、退屈にも感じながら。