お家に帰ろう。

結局、遥とも哲司とも話ができぬまま、次の日がやって来た。



将人が上手く言ってくれたのだと、疑いもしていない明だった。

が、

将人が目を覚ましたのは、朝一の遥からのメールの着信音で…


『言葉じゃ恥ずかしいのでメールにしました。
昨日テツから聞いたよ。
ありがとう!
自分でも、よく分からないけど、やっぱり嬉しいんだと思う。
だって私、なんかスッキリしたから!
もう平気!
そっちこそ怪我は大丈夫なの?
早く治して夕飯食べに顔出さないと、お母さんが寂しがってる。』


これでは、どんな話の内容だったのか、全く分からず、

「そうキタか…頼むよ遥ちゃん…」

時計は8時を完全に過ぎていて、

「テツのやつ、今もう学校か?」

とにかく、一言だけのメールを送っておくことにした。


『大事な話がある。連絡くれ!』


哲司がソレに気付いたのは、教室に着いてからで、
校内での通話は禁じられている為

『大事な話って?』

いつもやってるように、こっそりメールを返すのだが、

『ごめん。活字で残したくないんだ。』


そんな意味深な言葉に、ただ困惑する哲司だった。

なぜならば、

昨日、将人と明のついた嘘によって、すでにもう、あらゆる想像を掻き立てられていたのだから…。