お家に帰ろう。

「まーくんに電話でもしとこっかな！」

「あ、そ。どうぞ。」

「恥ずかしいから、あっちでするわ…じゃ。」

「う、うん。バイバイ。」


遥が部屋を出て行くと、
電話が繋がらないよう、慌てて、先に将人へと電話をかける明。


「ん？」

「あたしがそっちに行ったとこ、テツに見られてたみたい！」

「なんで？！」

「近くまで行ってたんだよ！知らなかったの？」

「マジかよ…」

「しかも、はーちゃんにも言ったみたいで、」

「何を？」

「今、はーちゃんがそっちに電話するってさ。どこまで聞いたか探って？なんかテツに説教されたみたいだよ。」

「説教？テツが遥に？あははは」

「笑いごとじゃないよ！さっきあたし、テツに嘘ついちゃったんだから！なのに何も言わないから…きっと怪しがってるよ！どうしよう？」

「落ち着け、明。」

「あたし、テツんとこ電話してみるよ！」

「待てって！そこじゃ話がモレるから駄目だよ！」

「でも！」

「俺が電話する！上手く言っとくから安心しろ。」

「……分かった。」



将人は電話を切ったあと、
とりあえず遥からの電話を待ちながら、哲司への上手い言い訳を考えるのだった。

が、

いくら待っても、遥からの電話は来ないし、
こっちから電話するワケにもいかず、いつの間にか眠っていた。