「俺はぁ、今はこんなんで十分だよ…俺はね!」

「あたしだって。」

「…なら良かった。」

「ん?」

「慌てなくても、ゆっくりと解決法を考えられる。」

「う、うん。」

「待ってて。まず俺が、自分で稼げるようにならなきゃ話にもなんないから。」

「分かってる。」



将人はキチンと筋を通してから、家族全員に認めてもらえる日を夢みていた。


それまでは、なんとしてでも、穏やかに過ごしたくていたのだ。


まさか、哲司に見られていたなど予想にもせずに、
この先、明がまた、実父と会うことだけを、ただ恐れながら…。