お家に帰ろう。

「マジで?」

「うん。」

「それって、今年じゃね?」

「かな?」

「…俺が聞いたのが高1だったから、遥もそろそろかなぁって思って…アレ聞かれてたのか〜。」

「聞こえたの!」

「なんで言わなかった?」

「だって…“遥に言ったら明にも知れちゃうから”って、お母さんが言ってたから…知らなかったことにしなきゃと思って…」

「だっておまえ…大丈夫だったのかよ!?」

「ビックリしたよ!当たり前じゃん!」

「!」

「でも…安心した…」

「?」

「自分が変じゃないって分かったから。」

「なにが?」

「…まーくんが…好き」

「!」


まっすぐ見つめる明の瞳から、
しばらく目を離せなかった将人は、
徐に、携帯電話を取り出し……

「あ、お母さん?今から明と帰るとこ。…そう、練習してたんだよ。明の彼氏も一緒に…」

「え?」


その嘘を、明への返事とした。


「林くんのこと?」

「ちょっと使わせてもらった。まさか、俺達がこーゆーことになったとは言えないだろ。」

「…良い人なんだよ、林くん。」

「ダ〜メ!二度と会うな!…明、頼むから俺以外の男のことをみるなよ。心配なんだ!おまえが俺の前から消えていくんじゃないかっつ…そしたら俺…」