お家に帰ろう。

「おまえ、どこの中学だ?」

「違うよ。林くんは高校生でね、この近くに家が」

と、明の説明も途中で、

「中学生相手に何してんだあ!?あー!」

声を張り上げる将人。


「違うんだって!いつも練習相手になってくれてるの!今も送ってくれるって…あぁ、林くん、もうここで!」

「でも、」

「あ、これ、お兄ちゃん!だからもう、ここで!」

「あ、じゃ、じゃあ。」



掴みかかるワケでもなく、ただ、大声で威嚇する将人に、怯えて帰る林の後ろ姿が、明に、どう映ったのか…?

その背中を見送りながら、押さえきれない怒りにまかせ、周りも気にせず、

「なんであんなこと!」

明は喧嘩をけしかけた。


「おまえは騙されて」

「そんなんじゃないんだって!」

「そうなんだよ!」

「信じられない!もう会えないじゃん!こんな」

「会わなくていーよ!」

「なんなの?!」

「俺と一緒の時以外、もうココには来るな。」

「嫌だ!まーくんとなんか来ない!」

「明!」

「…いっつも子供扱いして!」

「中坊なんて子供だろ!」

「帰る!」

「待てって!」

「触らないでよっ!」


腕を掴む手を振り払う明に、本音をぶちまけそうになるのを、将人はグッと押さえ込んでいた。