お家に帰ろう。

その家までの道程を、半分ほど進んだ頃、

「明!」

目の前に現われたのは…

「ったく、何時だと思ってんだぁ?」

帰りが遅い明を、迎えに来た将人だった。

「親父カンカンだぞぉ!こんな時間まで、どこでテニスなんかやってんだーって…で、あそこだと思ってさぁ。」

「…ごめん(あぶなっ!)なさい…」

「謝る相手が違うだろ。」

そう言って家に電話をする、将人のいつもの優しさが、

「あ、俺。明いたよ。今向かってる途中だから…」

今日は、動揺しているせいか、嫌味にすら感じる。


家に着いて早々、説教をされる明をもかばう将人だったが、健闘も虚しく、
夜の練習は禁止とされた。

その瞬間、
明が頭に思い浮かべたのは、林のコトだった。


あんなことがあった後で、
このままでいるのは気持ちが悪く、

(勘違いさせちゃってないかなぁ…ダメダメ!ハッキリさせとかなきゃ!)


でも、互いに連絡先を知らず……そのもどかしさが、常に林のことを考えさせる。


(あの場所に練習に来るんだから、あの近く家があるってことだよね…じゃあ、夜じゃなくても会えるってこと?!)

そんな期待をする明は、夕飯までの許される時間を、あの場所で費やすことにした。


こうして、通いつめた5日目……


「あれ?明ちゃん?」

「あ…」