それから数分後、

「てっちゃん!」

母親の弥生が、疲れた表情を浮かべて帰ってきた。


明に追いつけず、見失い、
周辺を探し回っていたのだろう。


「明は?!」と、たずねられ、

首を振る弥生は、

「遥はどんな?」と聞き返すと、


「ごめんなさいっ!!」


何よりも先に、謝る哲司に対し、

「…何があったのか教えてちょうだい。」

とにかく耳を傾けた。


「遥にバレちゃったんだよ!明の父親のこと!」

「え?」

「明のヤツ、あっさり言うから、てっきり遥も知ってるものと思って、俺…」

「明…知ってたの?!」


その様子で、明が知ってることすら、弥生は知らなかったのだと気付いた哲司は、

「え?!(今日の俺って災難続きだよ…)うん。」

どう説明したものかと、黙って考え込んだ。


寒気を感じた弥生は、腕を組むようにして縮こまっている。


そんな弥生に、そっと携帯電話を差出し、例のサイトを見せる哲司。


これで何度目になるだろうか?

まずは、吉岡を疑った経緯を説明した。

吉岡の人格と、遥への裏切り行為を問い質す、そのやりとりの中で、
遥が抱く明への不満を知ることとなり、
自分の存在の意味に不安を感じた明が、自分の出生についてポロリと漏らしたのだと…