すると、

「マジ〜!やっべ、俺…言っちゃったよ…」


徐々に小さくなっていく哲司の声に、尚も興味津々の遥。


(?なに?)


話の流れ的に、自分も関わっていることに、違いないのだから仕方がない。


二人の会話はこうだ……

「そんなこと言ってたっけ?」

「あぁ、知ってるのは姉以外って…でも父親と会ってることは誰も知らないんだってさ。」

「…あ―…」


力が抜けていくように、ゆっくりと壁を伝いながら廊下に腰を下ろす哲司は、

「先に言っとけっつーの。」と、

遥の部屋を見ては、ため息をこぼすのだった。


「俺に、どーしろっつーんだよ…」


ふと、哲司の頭を将人の存在が過る。


哲司はそっと立ち上がり階段を下りると、遥に聞かれぬよう一番下の段に腰掛け、
今度は将人に電話をかけた。


「あ!マサ君?今、大丈夫?俺、どーしたら良いのか分からなくってさ…」


一度、後ろを振り返り、玄関まで行った哲司は、その段に腰を下ろしてから話し続けた。



「マサ君は明の父親のこと知ってる?」

「…おまえ!なんでソレ」

「知っちゃったんだよ…」


哲司は今日の出来事に至るまでの経緯を、掻い摘んで話し始めた。