お家に帰ろう。

最悪だった。

人を騙そうとなどしたおかげで、知りたくもなかった証言まで聞かされ、言わなくても良いことまで言うハメになってしまった。

自分で蒔いた種だから仕方がないのだが…

それにしても、
遥には随分と嫌われていることが判明し、
家路へと向かう明の足取りは、
かなり重いものとなった。



あのあと、すぐに哲司もやって来て、
しばらくは、何を話す訳でもなく、三人でファーストフードのテーブルを囲んでいた。


「重い!」

明が切り出すと、

「おまえ!…のことだろ。」

あの哲司さえ、かなり気まずそうだ。


本当ならば、どう言う事なのか、すべてを知りたくてウズウズしているに違いない。

市川に合わせて、空気を読んでいるのだろう。


「お父さんのコトは分かってたコトだから、今更…ただ、お姉さんのことだよね?」

「そんなの、別れた方が良いに決まってるだろ!」

「…」

「だからぁ…気まずいだろって話だよ。」

「あ…」

「あの男、どう切り出すつもりかな?」

「…メールでバイバイしてアドレス変えるとか?」

「あ!おまえ知ってんじゃん!送ってみ!」


明は一言、謝りのメールを送信するも、すぐに、
“ユーザーが見つからない”と、返ってきた。


「早え〜。こりゃ慣れてんな。」