お家に帰ろう。

すると、さすがにソレは、
3人の手を止めさせた。


振り返る男どもからの視線を浴びる中、

「…お父さんなの!…援交なんかするわけないでしょ。」


自分の身の潔白を、一番に伝えたかった人物は、
紛れもなく市川だった。


今まで、どんなことがあっても、将人以外とは話したことなかったコトを…
どうしても、言わずにいられなかった心境に、
自分自身、気づかさせられてしまった明は、
思わず、その場から逃げ出していた。


そのあとを、すぐに追いかけるのは市川。


上條家のことなら、何でも知っているつもりだった哲司は、
まさかの展開に、いまいち状況を飲み込めずにいたが、

思わぬ方向へと話が進んでしまい、事の重大さにたじろぐ吉岡に、

「もう、遥とも関わるな!!」

と、捨て台詞を残してから、その場を去った。



明の後方から、正面に回り込むようにして足を止めさせた市川は、

「ちっと待てって!」

普段から走り込んでるだけあり、息も切らさずにこう言った。


「何かあるとは思ってたよ。……いつから知ってたの?」

「…中1かな。」

「マジかよ…他には誰か知ってるの?」

「姉以外。でも、あたしが知ってるってことを両親は知らないし、本当の父親と会ってることは…」

「俺たちだけしか知らないってことか…マズイなぁ。あの男、どーするつもりだろ?」