お家に帰ろう。

二人の会話が、どんな状態で哲司に届いているのかは分からないが、
これ以上、面倒くさいことは避けたかったのだ。


あの、書き込みのことが知りたかっただけなのに…


「何してんの?」


携帯電話を手にする明に、吉岡が聞いた。


「は、はーちゃんにあなたと別れるように言う。」


上手くごまかせたと思っていた。


「は?そんなの、自分の首絞めるのと同じじゃん。」

「そんなの!…だいたい、あなたのこと初めから怪しいと思ってたんだから、あたし!」

「なんだぁ?俺のこと試してたとか言いたいの?」

「そ、そう!」


苦し紛れに、相手の話に便乗した。


「アイツが、俺の言葉より君の言葉を信じると思う?明なんか生まれてこなきゃ良かったって言ってるくらいだぜ!」


と、その時――――

「俺も聞いてたけど!」


突然切れた電話に、
慌てた哲司が駆け付けていた。


「なんだおまえら!」

「それから!俺達、やり直すことになったんで、合コンは必要無いですから!」


あれほど哲司に止められていたのにもかかわらず、
明の前に立ちはだかる市川に、
誰もが驚いた。

そして、

「すいません、わざわざ。俺が見ておきたかったんですよ、あなたの顔。こいつはこんなことヤダって言ってたんですけど。」