お家に帰ろう。

「え?」

「話には聞いてたけど。」

「なんですか?」

「だって今日、そんなこと言うためだけにココに来たの?」

「!」

「“合コンはしません”の一言をメールすれば良かっただけのことじゃん?」

「あ…、そーなんだけど」

「遥から聞いてるよ。君、遥のモノを奪い取る習性があるんだろ?」

「は?」

「小さい頃から君は、遥がやる事を何でも真似したがって、結局、皆に褒められるのはいつも君だったって…年上の遥は出来て当前って思われて、ウケが悪くなるんだってさ!ピアノを横取りして母親も独占しておいて、本気ではやらなかったんだろ?だから遥はテニスを頑張ってるんだってさぁ。今頃ねらってんのかなぁ、エース。」

「なにが言いたいの?」

「いつも“遥はお姉ちゃんなんだから”って我慢させられてたってよ。君が母親にワンピース作ってもらったのを見て羨ましがってたら、唯一見方の婆さんが、新しい服買ってくれてたんだーとか…そんな話、俺しか聞いてやれんの居ねーじゃん?本当はどーでも良かったんだけど…気がついたら俺、君にも興味が湧いちゃってさぁ!」

「それで跡つけたの?」

「俺ね、どちらかと言うと小悪魔ちゃん好きなんだよね〜。そしたら君からのメールじゃん!“キター!”って思ったよぉ。遥のモノが欲しくなったのかな?ってさ!」

「違います!」

「あ、ちょっと味見したくなっただけ?だったら俺も同じ!君、相当甘え上手みたいじゃん…兄貴もデレデレだったもんなぁ!」


吉岡が将人の話を始めた瞬間、
明は携帯電話を取出し、通話を切った。