お家に帰ろう。

そんな言い訳をしながら、哲司は思う。

(明のヤツ、だから俺に言ってきたのか?頼りにされてんじゃなくて、利用されてんのか?俺…?)


もう、今更考えても遅く、
とにかく、無事に済むことを願って見守るしかない。



明は吉岡の後ろから、ひょっこりと姿を見せて言った。

「ども。」

「おお、うっす!」

「ごめんなさい、呼び出したりして。」

「いーのいーの!で、どーする?どっか移動するだろ?」

「誰かに見られるのはマズいし、公園の中がいーかなって思うんだけど…」

「あー、良いね。いこ!」


哲司の携帯電話から、うっすらと聞こえてくる二人の会話で、
何も知らない吉岡が、ノリノリなのは窺えた。


公園の中の方へと歩み行く二人より、かなり離れた所から、哲司と市川は監視している。


「合コンのことなんだけどね、」

「あぁ、何人くらいがいい?」

「って言うか、どーしてうちらと?」

「?遥から聞いてない?」

「あ、そーなんだけど、そんなの鵜呑みにしなくてもさぁ…」

「なに?乗り気じゃないの?」

「んー。まあ。」

「必要ないってこと?」

「姉のメンツをたてなきゃかと思ったんだけど、あたし、彼氏つくる気ないんで、意味ないんじゃないかと」

「またまた…やっぱ上手いなぁ。」