お家に帰ろう。

すると、市川が落ち込んで見えた哲司は、


「…あのさぁ、」

「ん?」

「今日は何かある?」

「別にないけど。」

「じゃあ、…ちょっとつきあってよ。」

「どこに?」


こうした成り行きから、コトの説明をしながら、
市川も連れて行くことになったわけだが、
“一人よりも二人の方が心強い”というのも理由の一つだったのだろう。


理解の早い市川は、冷静に解析していた。


「こんなことしてさ、その彼が犯人じゃなかったとしても、まだ、お姉さんと彼はウマくやってけるのかな?」

「もちろん明は、合コンなんてやる気、全然ないんだけどなぁ。」

「お姉さんとダメになるの覚悟なら、明ちゃんともテキトーに遊んで、終わりにするつもりでいるんだろなぁ、そいつ。じゃなきゃ姉妹間ドロドロだぜ。昼ドラじゃないんだからさぁ。」

「つか、どっちとも上手くやれる気でいたりして?こっちに騙されてるとも知らずになぁ!」

「…やっぱ危なくね?」

「明はガード固いから大丈夫だろ。いざって時のために、こーして俺が居るんだし。…そん時は俺が行くから、イッチーは出てくんなよ!バスケ出来なくなりでもしたら、シャレになんねーからさぁ…」


その時、

「おまえ、なんで止めなかったの?」と、

市川のトーンダウンした声で、
初めて、色んな事が絡んでくる、事の重大さに気付く哲司。


「ごめん…でもアイツ、とっとと話を進めてて…最初は俺だって止めたんだって!」