お家に帰ろう。

「はい。」

「あたし。公園の中に居たの。今から行く。」

「いーか。このままケータイ繋げとけよ。」

「分かってる。」

「充電は?」

「大丈夫。」


明は、そのまま携帯電話を胸ポケットに入れ、

「じゃ、よろしく。」

と、テスト発声をして、吉岡の元へと急いだ。



「あ、きたきた。」


それは、小走りの明を確認した、哲司の隣に居る市川の言葉だった。



下校時の下駄箱の前で、哲司は市川に捕まった。


なんでも、あのサイトの書き込み犯が、分かりそうだとかなんだとか…


急いでいた哲司は、明と吉岡の待ち合わせ場所に向かいながら、話を聞くことにした。


市川は言う。

哲司にサイトの話を持ちかけてきた、彼女が怪しいのではないかと…


「アイツも誰かから聞いたって言ってたよ。」

さすがに、自分の彼女をかばう哲司に、

「誰からだって?」

市川も容赦なく食い下がる。

「んー…忘れた。」

「聞いてみろよ。」

「ごめん、今急いでんだ俺。」

「ケータイは?忘れたの?」

「いや、用事があって、長電話できないんだよ今。」

「…そーなんだ。」