将人は自分の中学時代を思い出していた。

自分が3年の時、あんな風に1年の女子と話したことがあっただろうか?と…。


確かに、同じ学年の同じ部に、
すでに彼女のいた将人など、
後輩から、恋のターゲットには、されにくかったかもしれない。

それに、将人自身も、
小学校から上がってきて間もない1年生など、妹の遥と重なって、
やはり恋愛対象になれなかったものだ。


それと比べてみると、明は大人っぽいとでも言うのか?


思えば、
最近の明の態度や仕草が、やけに“おんな”らしくなってきたような……。


(何か…あったのか?!)


その時の将人には、中村が原因としか考えつかなかった。


そして、中村との関係を、哲司に問い正すことに。


「だっておまえ、前に言ってたじゃん。中村が明のことをどーのって。」

「あれは、先輩に俺と明のことを聞かれたから、勝手に、そう思っただけ!」

「ふーん。」

「多分、そーゆーのとは違うと思うよ。」


そう言われても、中村と話してた時の明の様子が思い浮かび、

「明はさぁ…どう思ってんのかな?」

不意にたずねていた。


将人は、明の意中の男が気になって仕方がないのだ。


それまでは、妹としか見たことがなかったはずが、
血の繋がりがないからだろうか、
遥と違って、
独占欲を掻き立てられている自分に気付いた。