その帰り道、
明は、なんとなく将人を避けて歩いていた。


その将人は、哲司と喋りながら歩いていたので、
明のそんな様子に気が付きもしなかったのだが、

しばらく、家でも避け続けていたので、
さすがの将人も気が付いた。


「なにソレ?」

「は?」

「…なんだおまえ、反抗期か?」

そう言っては、今までの様に幼児扱いをして、明の頭を撫でる将人。

すると、

「やめてよ!やらしい!」

強く言い放った明は、部屋に逃げ込むと、そのドアをバタンっと閉めて威嚇してみせた。


将人的には、
あんなに可愛がってきた明だっただけに、
その態度には、かなりのショックを受けたのだが、
それでも懲りずに、何度も話かけてはみたものの…

将人に対する明の態度が、いっそう冷たいものになっていくのが分かった。


しかも、両親や遥とは、今までと少しも変わらぬ態度をとっているのを見て、

(なんで俺だけ?俺、なんかしたっけ?)

気になって仕方がない。


「これは何かある!」


そこで、誰にも言わずに母校へと出向いた将人は、
遠目に、あるものを目にすることになった。


部員達がネットやボールを片付けている中、
1年の明が3年の中村と、隅で立ち話をしているではないか。


しかも明の、その表情ときたら、
最近では…いや、今まで自分には向けられたことの無いほどのハニカミぐあいで……