フタリの事情。

……って、やめよ。

考えるだけでも怖すぎるっつの。



「拾うの手伝うよ」


「あっ、先輩っ……
そんな、いいですっ」


「いいわけないじゃん。
俺とぶつかったせいで、こんなんなっちゃったんだから」


そこらへんに散らばってる本やプリントを、しゃがみこんでかき集めると――

これがまたすげー量だ。


どう考えても、女の子一人で持つのは無理があるぞ?

多分、係の仕事かなんかで、先生に頼まれたんだろうけど。



「これさ、職員室行き?」


「えっ?」


「半分俺が持つから。
セナちゃんは、残り持ってくれる?
どこ運べばいいの?」


「そっ、そんなの、迷惑ですから!
それに先輩、これから部活じゃ――」


「大丈夫、まだ時間あるし。
つか、セナちゃんも同じ部活じゃん?
こんな状態のセナちゃんほっぽって俺だけ行ったら、袋だたきの刑になるよ」


あながち、嘘じゃないし……



「……職員室じゃなくて、化学室です。
先輩、ありがとうございます……」