フタリの事情。

そういえば……中1の時。


同じクラスの女の子に突然告白されて、もちろん俺はりぃが好きだから断ったんだけど……

その時ものすごい形相で言われた言葉が、


『好きじゃないなら優しくなんてしないで!!』



あん時俺、結構凹んだんだよなぁ……


別にその子だけに、特別優しくしたつもりなんてなかった。

でも、もし彼女がそう思ったなら悪いことしたよなぁ、って。



りぃが言いたいのは、多分そういうことだと思うんだ。

俺がまた凹まないように、って、注意してくれたってーか。


あいつ、優しいから……





「まぁ、りぃはちょっと考えすぎだよな。
お前と間違ってさ、俺にファンがいるとも言ってたし」


「ごめんテツタ……
オレ、テツタのこと、全然分かってなかった」



ふるふる。

力なく首を振ったワタルは、哀れむような目で俺を見た。


なんなんだよ、その視線……


「まさか、ここまでニブとは……
つーか、天然記念物モノ?」