結局、旅行の楽しみを味わう事も出来ずに、私達は、翌日店に帰って来た。
まだ、奥さんは戻っていない。
「疲れただろ。今日は泊まっていけよ。」彼は、普段奥さんとSexをしているベッドで、私を抱こうというのだ。
奥さんが知ったらどう思うだろう。
それでも、私は彼を愛してたから、言うことを聞いた。
どんなに愛していても、その気持ちを受け入れられることはありえない。
そんな私の気持ちを表すような花、それが青いバラだ。
アメリカで青いバラは、不可能やありえないことの象徴。
あるアーティストは、終わらない悲しみを、青いバラに変えて、と歌っていた。
シャワーを借り、私は仕方なく寝室に入った。
ここでいつも、彼と奥さんは…。
涙が出てきた。
彼は、私の気持ちをわかってはいる。でも、奥さんと別れられないから、私を近くに置いておくこと位しか出来ないのだ。
私は、疲れ切った体を彼に預けた。ふかふかのベッドの海に、彼と私は身を沈めた。
月に数回、彼は激しく私を求めた。そしていつも、私の中で果てていた。
数年後…。
花屋には男の子がいた。彼に似たかわいい子。
彼は子供が欲しかったのだ。
そのために、私を飼っていたのだ。
それでも私は、彼が好きだった。
人に愛されたことがないから、私にはこれが一番幸せなの、と納得している。
これも、愛の形。
枯れることを知らない、花屋に並ばない花。それが、私。