キスの魔術師



…だけど、そんなのは


『…んなのっ……、理由になってないよ!』


「だから言ったじゃん。やっぱり納得しなかった」


『納得なんてするわけないじゃんッッ。だって……』



納得するわけないじゃん。

そんなこと………



「……」


『…だって……っっ……恭介の夢は、あたしの夢なの!!』





恭介が、夢をあきらめることは、あたしの夢も自動的に叶わなくなるんだよ。




「…っっ……だけど俺は、…ハイジを泣かしたくねぇ……」



恭介の、か細い声が聞こえる。



『泣かないよ』


「…んなこと言ったって、俺知ってるし」


『は?』


「……いつも一人で泣いてる。俺に迷惑かけたくないからかも知れないけど」


『な、泣いてないし』


「嘘でしょ。一人で声押し殺して泣いてる」