家に帰ると、母はお酒を飲んでいて
髪はぐしゃぐしゃだし
衣服は汚らわしい
汚い手で僕を殴った
灰色に近い肌は僕の腕を掴んだのがよくわかった

僕の中の“何か”が
僕の中から出てくる
どんどん上に上がってきて喉で窮屈そうに でもゆっくり出ようとする

解放された瞬間

僕は叫んだ
発狂した。

口から血を流して僕は叫ぶ
その顔は本当は人間じゃなかったんです
とでも言うような顔つきだった

母はびっくりしていた。高校生の男の力は予想以上だった
灰色な手首を怒りとともに握り締めた
今までの母はいなく 泣きじゃくっていた

「ねぇ?僕ってなんて名前なの?“あんた”じゃないよね。僕の本当の名前、忘れちゃったよ」
家ごとあざ笑った。

「知ってた?煙草の火は熱いって。肌に付けるとねー、皮膚は溶けて肉が焦げるんだよ、ねぇ知ってた?」

そう言いながら火を押し付けた
母はやめて・・・と泣いていた

「こんなんなっちゃって。汚い。もう僕の前に現れないでくれよ」

そう言って母をお風呂場まで引きずった
ドアを開けた
そこには僕が居た。もう一人の僕。泣いていた、痣をつけて泣いていた。

浴槽に溜まった水を見た
僕はね・・・・


僕はねぇ


僕はねぇ




汚いのが一番嫌いなんだ













母の顔を浴槽に沈めた

















「僕はねぇ
汚いのが一番嫌いなんだよ」


満月が美しく輝く夜だった